離婚-親権,養育費,婚姻費用の分担etc

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親権,養育費,婚姻費用の分担etcについて

離婚-親権,養育費,婚姻費用の分担etc

親権者の指定について

親権者の指定は,離婚が成立した後に問題となる事項であり,離婚が成立する前は,監護権者の指定が問題となります。

親権者や監護権者を指定する判断基準は,一言で言えば,いずれの親に養育された方が子の福祉・利益にかなうかという点にあり,具体的には,以下の事情を総合考慮して決定されます。

(1)父母側の事情

  • 健康,精神状態,性格,生活態度,経済状態,家族環境,住居環境,教育環境
  • 子に対する愛情の度合い
  • 現在,及び,将来の環境
  • 監護補助者の有無,補助の程度・方法
  • 父母の再婚の可能性,離婚の有責性

(2)子供側の事情

  • 子の年齢と意思

    0~10歳 一般に,母性が優先される傾向にあります。

    10~15歳 子の心身の発育状況により子の意思を尊重

    15歳以上 子の意思を尊重(審判,裁判前に必ず子の陳述を聞かなければなりません。)

面会交流について

親権を有しない親が親権を有する親の元に養育されている子と面会する場合や,離婚はまだ成立していないが,別居中の夫婦間において,子を養育していない親が子と面会する場合に問題となります。面会交流の際に,相手方当事者と会いたくない場合には,面会交流について合意が成立していることを原則としますが,家庭裁判所の調停員OBが子供の受け渡しを支援する帯広おやこ面会交流の会(しおんの会)を利用する方法もあります。

養育費について

離婚が成立した場合において,未成熟子の養育費用として,より収入の多い親が,未成熟子を監護養育している親に対し支払うものが養育費です。養育費とは,未成熟子が独立の社会人として成長自立するまでに要する全ての費用,つまり衣食住の費用,教育費,医療費,適度の娯楽費などをいいます。なお,未成熟子とは,必ずしも未成年(20歳未満)とは合致しません。

未成熟子の親は,自分の生活を保持するのと同程度の生活を子供にも保持させる義務(生活保持義務,「一椀のかゆも分けて食う」関係)を負っています。

養育費分担の算定方法については,平成15年に公表された「東京・大阪養育費等研究会」の養育費算定方式とこれに基づく算定表が実務で定着しています。

婚姻費用(離婚前の生活費)の分担請求について

婚姻費用の分担が問題となるのは,未だ離婚が成立する前,夫婦が別居している場合の一方から他方への生活費の支払いの場面です。

婚姻費用の算定方法についても,平成15年に公表された「東京・大阪養育費等研究会」の婚姻費用の算定方式とこれに基づく算定表が実務で定着しています。

有責配偶者からの婚姻費用分担請求は認められますか?

例えば自ら不貞をして別居状態となっているにもかかわらず,婚姻費用の分担を請求しても,その請求は,信義則違反として,責任の程度により,全く認められないか,あるいは,例えば子供がいるときには,子供には何の責任もないとして,子供の養育費相当額にまで減額されることがあります。

相手方の総収入はどのように認定するのでしょうか?

サラリーマン(給与所得者)の場合は,源泉徴収票の中で一番大きな金額である「支払金額」欄記載の金額(複数の所得がある場合には,所得課税証明書で所得を確認する必要があります。),事業所得者の場合は,確定申告書の中の「課税される所得金額」欄記載の金額に,実際には支出されていない配偶者控除や扶養控除額を加算した金額を総収入とします。

この点,相手方が,自らの総収入を明らかにしない場合や不当に減額操作をしている場合には,従前の収入から推計をしたり,賃金センサスにより推計する場合もあります。

 相手方が居住する住宅ローンを支払っている場合,その金額を,婚姻費用額から減額することができるのでしょうか?

自ら居住する場所の家賃を支払いながら,相手方が居住する住宅のローンも支払っている場合,相手方は,家賃相当額を支払わずに済むのに,自らは,二重に居住費用を負担することとなり,過酷な結果となる場合があります。このような場合,年間の住宅ローンの支払額を夫婦共通の経費と見て,婚姻費用を支払わなければならない義務者の総収入から控除したり,相手方に支払う婚姻費用額から,住宅ローンの毎月の支払額の全額ではなく(住宅ローンの支払いは自らの資産形成のための費用の支出という側面もあるため),平均的な居住関係費用額を減額する場合もあります。

子供が私立学校や4年制大学や医学系大学に進学した場合の教育費はどのように考慮して貰えるのでしょうか?

平成15年に公表された「東京・大阪養育費等研究会」の養育費算定方式は,公立の中学校・高等学校に進学した場合の教育費を基準しており,それ以上にかかった教育費については,私立高校や4年制大学や医学系大学に進学することが両親の収入や学歴や社会的地位からして分相応な場合には,権利者(養育費・婚姻費用を請求する側)と義務者(養育費・婚姻費用を負担する側)の総収入ないし基礎収入の割合で按分し,それぞれ,総収入から控除して基礎収入を算定し,養育費ないし婚姻費用を計算していきます。なお,子供が20歳を過ぎても,4年制大学や医学系大学に進学している場合には,大学卒業までは未成熟子と考えます。

高額所得者の場合,算定式にそのまま当てはめると,異常に高額な養育費・婚姻費用となってしまうのですが

平成15年に公表された「東京・大阪養育費等研究会」の養育費算定方式は,給与所得者の場合は2000万円,事業所得者の場合は1409万円を総収入の上限としており,それ以上の所得は,生活費で使われるものではなく,むしろ資産形成に充てられるものとみなして,養育費や婚姻費用の計算上は,上記上限額で計算する場合があります。

離婚前後に使える社会保障制度について

① 児童扶養手当(帯広市の場合) 

母子家庭のみならず父子家庭にも支給されるようになりました。認定請求した日の属する翌月分から4か月毎に支給され,遡及支給はないため,離婚が成立すれば,できるだけ早期に認定請求をしましょう。

② 児童手当(こども手当)

③ 生活保護

④ 就学援助(帯広市の場合) 小・中学校の義務教育課程の子供が対象となります。

⑤ 公営住宅への優先入居

⑥ 母子家庭等自立支援事業(帯広市の場合

家事や育児のためホームヘルパーを派遣して貰ったり,就労や資格取得のための援助制度,各種貸付制度などがあります。

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